医療安全情報No.121
医療安全情報No.121(H28.12.15)(PDFファイル1139KB)
経鼻栄養チューブの誤挿入
経鼻栄養チューブを挿入後、気泡音の聴取のみで胃内に入ったと判断したが、実際には気道に誤挿入されていた事例が報告されています。いずれも、誤挿入のまま栄養剤や内服薬を注入し、患者の呼吸状態に影響があった事例です。
事例1)医師は、気管切開している患者に経鼻栄養チューブを挿入後、気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。その後、看護師が栄養剤の注入を開始したところ、患者は咳き込み、呼吸苦を訴えた。医師は気管孔から気管支鏡を行い、気管内に経鼻栄養チューブが挿入されていることが分かった。
事例2)看護師は経鼻栄養チューブを挿入後、胃内容物を吸引できなかったが、他の看護師と2名で気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。看護師は、内服薬を注入する前に、再度、他の看護師と気泡音を聴取した。内服薬を溶かした白湯を注入したところ、咳嗽が出現しSpO2が80%前後に低下した。胸部エックス線撮影を行い、右気管支に経鼻栄養チューブが挿入されていることが分かった。
事例が発生した医療機関の取り組み
経鼻栄養チューブの挿入後、胃内容物を吸引して胃内に入ったことを確認する。胃内容物が吸引できない場合、エックス線撮影によりチューブの先端の位置を確認する。