医療関係の皆さまへ

2017年

PMDA医療安全情報No.52

PMDA医療安全情報No.52(2017/12/20)(PDFファイル1360KB)

開放式脳室ドレナージ回路使用時の注意について

事例1)体位変換後、ドリップチャンバーのフィルタークランプを開放し忘れたところ、オーバードレナージが発生し、患者が頭痛と吐き気を訴えた。

事例2)清拭終了後、クランプを開放したが、ドリップチャンバー上部のフィルターが脳脊髄液で濡れていたため、オーバードレナージが発生し、患者が頭痛を訴え脳出血を認めた。

事例3)移動後にクランプを開放したが、ドリップチャンバー上部にあるチューブが潰れていたため、オーバードレナージが発生し、患者に出血・麻痺を認めた。

開放式脳室ドレナージの取扱い時の注意点(その1)
体位変換後は、すべてのクランプが開放されているか必ず確認すること。

開放式脳室ドレナージの取扱い時の注意点(その2)
清拭終了後、移動後は、フィルターの濡れやフィルタークランプのチューブの潰れがないことを確認すること。

医療安全情報No.133

医療安全情報No.133(H29.12.15)(PDFファイル1120KB)

胸腔ドレーンの大気への開放

胸腔ドレーンバッグを使用する際、水封部へ滅菌蒸留水を入れなかったため胸腔が大気に開放された事例が4件報告されています。(集計期間:2013年1月1日~2017年10月31日)。この情報は、分析テーマ「胸腔ドレーンバッグの管理に関連した事例」(第50回報告書)の内容をもとに作成しました。

事例1)看護師Aは、胸腔ドレーンバッグの水封部に滅菌蒸留水を入れることを知らなかった。医師と胸腔ドレーンバッグを交換する際、看護師Aはバッグをベッドサイドで開封しそのままの状態で医師に手渡した。医師はドレーンをバッグに接続した。その後、看護師Bがバッグの水封部に滅菌蒸留水が入っていないことに気付いた。患者は頻呼吸でSpO2は87%であり、呼吸苦を訴えた。

事例2)医師は胸腔ドレーンを挿入し、水封(ウォーターシール)で管理する指示をした。看護師は、滅菌蒸留水を胸腔ドレーンバッグの水封部ではなく吸引圧制御部に入れ、ドレーンをバッグに接続した。すぐに他の看護師が誤りに気付いた。

事例が発生した医療機関の取り組み

・胸腔ドレーンバッグ準備の手順を作成する。
・適切な胸腔ドレーンバッグの使用について教育する。

医療安全情報No.132

医療安全情報No.132(H29.11.15)(PDFファイル1145KB)

オーバーテーブルを支えにした患者の転倒

患者がベッドから立ち上がる際などに、支えにしたオーバーテーブルが動き、転倒した事例が報告されています。

事例1)患者がトイレに行くため、看護師はオーバーテーブルのロックを解除した。患者は、ベッドから立ち上がる際にオーバーテーブルに手をついた。オーバーテーブルが動き、患者はバランスを崩して転倒し、大腿骨頚部を骨折した。

事例2)患者はカーテンを閉めようとしてベッドから立ち上がった。1人で歩けると思ったがふらつき、オーバーテーブルに手をついた。オーバーテーブルはロックがかかっていたが動き、患者は転倒した。

事例が発生した医療機関の取り組み
・患者が安全に過ごせるようにベッド周囲の環境を整備する。
・オーバーテーブルに体重をかけると動き、バランスを崩して転倒する可能性があることを患者に具体的に説明する。

総合評価部会の意見
・ベッド周囲にはオーバーテーブルに限らず動くものがあるため、ベッド周囲のリスク評価を実施してください。

医療安全情報No.131

医療安全情報No.131(H29.10.16)(PDFファイル1132KB)

インスリン単位の誤解(第2報)

医療安全情報No.6「インスリン単位の誤解」(2007年5月)で、インスリン1単位を1mLと認識していたため100倍量を投与した事例を取り上げました。その後、類似の事例が3件報告されていますので再度情報提供します(集計期間:2012年1月1日~2017年8月31日)。

事例1)看護師は、スライディングスケールの指示でヒューマリンR注100単位/mL 4単位を皮下注射することを確認した。看護師は、インスリン専用の注射器があることは知っていたが、インスリンの4単位は4mLであると思っていたため、5mLの注射器にヒューマリンR注4mL(400単位)を準備し、皮下注射した。10分後にリーダー看護師に報告した際、100倍量を投与したことに気付いた。

事例2)後期研修医は、ヒューマリンR注100単位/mLを0.5単位/hで投与する際、1単位は1mLと思っていたため、「ヒューマリンR 持続静注0.5mL/h」の指示を出した。指示を受けた看護師は、「原液?」と思ったが、オーダ画面上でヒューマリンR注のみ処方されていたため、原液で良いと思い誰にも確認しなかった。看護師は、ヒューマリンR注の原液を20mLの注射器に吸い、シリンジポンプにセットして0.5mL(50単位)/hで開始した。約4時間後、患者の血糖値が30mg/dLに低下し、インスリンを過剰に投与していることに気付いた。

事例が発生した医療機関の取り組み
・インスリンのバイアル製剤を使用する際は、専用の注射器を用いることを徹底する。
・インスリンのバイアル製剤のそばに専用の注射器を置く。

 

医薬品・医療機器に関連する医療安全対策に係る厚生労働省通知

相互接続防止コネクタに係る国際規格の導入について(H29.10.5)(PDFファイル880KB)

  1. これまで、経腸栄養剤を血管に投与するなどの医療事故の発生を受け、経腸栄養ラインと輸液ラインは物理的に接続ができないよう基準を改正する等の対応を行ってきたところです。
  2.  近年、異なる製品分野間におけるコネクタの誤接続を防止することを目的に、新たな国際規格(ISO(IEC) 80369シリーズ)の制定が進められており、日本においても医療事故防止対策の推進や国際的な整合による製品の安定供給のため、新規格の導入に向けた施策が検討されております。
  3. 医療機関等における新規格製品の導入に際しての留意点について通知が発出されましたので、本通知の内容についてご留意いただきますようお願いいたします。

PMDA医薬品適正使用のお願い「ザルティア錠・ザイティガ錠」

「ザイティガ®錠」と「ザルティア®錠」の取り違え注意のお願い(H29.10.2)(PDFファイル752KB)

  1. 販売名の類似により、処方オーダリングシステムで薬剤の選択ミスを起こした事例や調剤時の薬剤取り違え事例がくり返し発生しています。
    医療機関において、処方オーダリングシステムに係る取り違え対策の導入をご検討ください。
  2.  誤投与防止のための確認事項も紹介されていますので、処方監査時、交付時や配薬時に注意していただくようお願いいたします。

PMDA医療安全情報No.51

PMDA医療安全情報No.51(H29.9.20)(PDFファイル788KB)

一般名類似による薬剤取り違えについて

事例)保険薬局が、一般名「一硝酸イソソルビド錠20mg」の処方せんを受付けた際、アイトロール錠を調剤すべきところ、「硝酸イソソルビド錠20mg」のフランドル錠と取り違え、調剤・交付した。

  1. 一般名が類似する医薬品について
    一般名が類似する薬剤が存在することを理解し、調剤する際は特に注意すること。
  2. 一般名処方時における取り違え防止対策
    処方せん記載例1)処方欄の、各一般名処方に、備考として、先発品や代表的な後発品のブランド名を記載。
    処方せん記載例2)備考欄に、先発品や代表的な後発品のブランド名を記載。

 

医療安全情報No.130

医療安全情報No.130(H29.9.15)(PDFファイル1159KB)

中心静脈ラインの開放による空気塞栓症

大気に開放される状態で中心静脈ラインの接続を外したことにより、血管内に空気が流入し、患者に影響があった事例が報告されています。

事例1)看護師は患者が座位の状態で更衣を介助した。その際、閉鎖式のコネクタと輸液ラインの接続が外れなかったため、中心静脈カテーテルのクランプを閉じないまま閉鎖式のコネクタを外した。中心静脈カテーテルが大気に開放され、空気が流入し空気塞栓による脳梗塞を起こした。

事例2)看護師は中心静脈カテーテルのヘパリンロックを実施する際、中心静脈カテーテルに閉鎖式のコネクタが付いていると思い込み輸液ラインを外したところ、実際には閉鎖式のコネクタは付いておらず、中心静脈カテーテルが大気に開放された。
患者は顔面蒼白となり、ベッド上に倒れた。頭部CTを撮影したところ、空気塞栓が疑われた。

事例が発生した医療機関の取り組み
・閉鎖式のコネクタを使用しない場合、中心静脈カテーテルのクランプを閉じないまま接続を外すと、大気に開放され血管内に空気が流入する危険性があることを院内で周知する。
・中心静脈ラインの接続を外す際、閉鎖式のコネクタが付いていることやクランプが閉じていることにより患者側のラインが閉鎖されているか確認する。

 

医療安全性情報No.129

医療安全情報No.129(H29.8.15)(PDFファイル1150KB)

併用禁忌の薬剤の投与(第2報)

「併用禁忌の薬剤の投与」を医療安全情報No.61(2011年12月)で取り上げました。
その後、類似の事例が9件報告されていますので再度情報提供します(集計期間:2011年11月1日~2017年6月30日)。この情報は、第44回、第49回報告書「再発・類似事例の発生状況」の内容をもとに作成しました。

事例1)イムラン錠を内服している患者の尿酸値が高くなり、医師は、フェブリク錠を新たに処方しようと思い、オーダリング画面に入力したところ、併用禁忌のアラートが表示された。処方するためにはコメントの入力が必要であり、医師はコメントに「継続」と入力して処方した。保険薬局からの疑義照会はなく、患者はイムラン錠とフェブリク錠の内服を開始した。2ヶ月後、
患者にめまい、ふらつき等の症状が出現した。ヘモグロビンが6.8g/dLに低下しており、イムラン錠とフェブリク錠を併用したことによる骨髄抑制であることが分かった。

事例2)患者に静脈血栓があり、循環器内科の医師はワーファリン錠3mgを処方した。ワーファリン錠を開始した2日後、口腔内カンジダ症のため皮膚科の医師がフロリードゲル経口用を処方した。薬剤マスタの最終更新は添付文書が改訂され併用禁忌になった月の前月であったため、処方時にアラートは表示されなかった。薬剤部からの疑義照会はなかった。患者はフロリードゲル経口用の使用2日目、PT-INRが測定不能となった。患者のヘモグロビンは4.3g/dLに低下し、内視鏡検査で胃噴門部からの出血を認めた。

事例が発生した医療機関の取り組み

・添付文書が改訂され新たに併用禁忌になった薬剤の情報を得た場合
○薬剤師は、各診療科に情報を周知する。
○マスタ更新を速やかに行い、アラートを表示する。
・医師は、処方時にアラートが表示された際、処方内容が適切か確認する。
・薬剤の保管棚に「併用禁忌あり」と表示して注意喚起する。
・薬剤師は、併用禁忌の薬剤が処方された際、疑義照会を行う。

PMDAからの医療機器適正使用のお願い

大動脈用ステントグラフト有害事象について(H29.7.20)(PDF277KB)

大動脈用ステントグラフト使用による有害事象について

腹部・胸部大動脈用ステントグラフト使用において、特に下記の条件等で使用した際に重篤な有害事象が報告されています
(次ページ参照)。
• 感染瘤
• 解剖学的適応範囲外へ適用
• ステントグラフト固定部位の不足
上記の条件下での使用における注意事項等は、各製品添付文書において注意喚起を実施しております。重篤な有害事象の発生を防ぐためにも、ステントグラフトの使用にあたっては、各製品添付文書の「警告」や「使用上の注意」を確認し、下記の事項に十分にご留意ください。

  1. 大動脈用ステントグラフトの添付文書における使用目的以外での使用における有効性及び安全性は確立していません。
  2. ステントグラフト内挿術を検討する際には、治療に携わるスタッフと共に患者のリスク因子を十分に評価し、外科手術等、
    他の治療方法も含めた総合的な判断をしてください。

 

医療安全情報No.128

医療安全情報No.128(H29.7.18)(PDFファイル1127KB)

手術部位の左右の取り違え-脳神経外科手術-

脳神経外科手術で手術部位の左右を取り違えた事例が11件報告されています。
○いずれも、画像は確認したがポジショニングなどを行う前に手術部位を確認しなかった事例です。
○4件は、執刀直前に医師が声に出した手術部位と執刀部位を照合しなかった事例です。

事例1)患者の入室後、執刀医は助手の医師、外回り看護師と画像を見て、手術部位が右側であることを確認した。器械出し看護師は、術側を把握していなかった。執刀医は、患者の顔が右を向き、術野が下になっていることに気づかず、術野とは反対の左側の頭部を剃毛し、局所麻酔を行った。執刀医は、消毒・ドレーピングを行い、執刀直前に、患者名、疾患名、術式、術側(右側)を周囲に伝えたが、術野が右側であることを誰も確認しなかった。皮膚切開後、骨を削り硬膜を切開する際に、助手の医師が血腫がないことに気付き、左右を取り違えたことが分かった。

事例2)右慢性硬膜下血腫のため緊急手術となり、医師は手術申し送り書に術側を右側とオーダした。患者が手術室に入室後、医師は画像で手術部位が右側であることを確認したがマーキングはしなかった。看護師Aが手術器械を展開し、看護師Bが患者のバイタルサインを測定している間に、医師は術野とは反対の左側の頭部を剃毛した。消毒・ドレーピング後、医師は「右慢性硬膜下血腫の手術を行います」と声に出した。看護師Aは医師の言葉を聞いたが、すでに覆布がかかっていたため術野が右側であることを確認できなかった。左側の穿頭後、硬膜を切開したところ血腫がないことに気付き、左右を取り違えたことが分かった。

事例が発生した医療機関の取り組み

・脳神経外科手術では、ポジショニングなどの手術準備の直前に、医師・看護師など複数の医療スタッフで画像の所見と手術部位を照合する。
・執刀直前に手術部位を確認する際は、医師が声に出した手術部位と執刀予定の部位と手術申込書を照合する。

医療安全情報No.127

医療安全情報No.127(H29.6.15)(PDFファイル1169KB)

2013年から2015年に提供した医療安全情報

2016年にも再発・類似事例が報告されています

2013年から2015年に提供した医療安全情報(No.74~109)のうち、2016年に再発・類似事例が報告されたタイトルおよび件数は以下の通りです。なお、報告件数が5件以上のタイトルのみ事例を掲載しています。

No.77 ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎(第2報) 第1報 : 医療安全情報No.33
No.78 持参薬を院内の処方に切り替える際の処方量間違い2件
No.80膀胱留置カテーテルによる尿道損傷7件
No.82PTPシートの誤飲(第2報)第1報 : 医療安全情報No.57 8件 ・・・・etc

詳しくは添付資料をご参照下さい。

 

 

医療安全情報No.126

医療安全情報No.126(H29.5.15)(PDFファイル1124KB)

輸液中の四肢からの採血

末梢静脈ラインから輸液中の四肢で採血を行ったため検査値に影響があり、患者に本来行う
必要のない治療を指示または実施した事例が報告されています。

事例1)看護師Aは乳がん術後の患者の採血を行う際、ベッドの頭元に「右上肢での採血・血圧測定は禁止」と表示があるのを見て、末梢静脈ラインから輸液中の左上肢から採血を行った。1時間後、看護師Bは、検査部より血糖値が656mg/dLに上昇していると報告を受けた。主治医に報告し、ヒューマリンR10単位投与の指示を受け、準備して患者の病室に行った。患者にインスリンを投与することを説明すると、患者から「なぜ血糖が高くなるのか」と質問があり、輸液中の左上肢から採血したことに気付いた。

事例2)夜勤看護師Aは採血を行う際、PICCカテーテルを留置している左上肢を避け、末梢静脈ラインから輸液中の右上肢から採血を行った。その後、検査部からナトリウム110mEq/L、カリウム7.8mEq/Lのパニック値であると連絡があり、医師から再検の指示を受けた日勤看護師Bは、再び右上肢から採血を行った。再検の結果もパニック値であったため、医師はカルチコール
を投与し、GI(グルコース・インスリン)療法を行った。その後、医師は採血後に貼るパッド付き絆創膏が右上肢に貼付されているのを見て、輸液中の右上肢から採血したことに気付いた。看護師A、Bは、輸液中の四肢で採血すると検査結果に影響を及ぼす可能性があることを知らなかった。

事例が発生した医療機関の取り組み
・輸液中の四肢から採血を行うと、検査値に影響する可能性があることを院内に周知する。
・検査結果が異常値の場合、患者の状態をアセスメントして治療の必要性を判断する。

医療安全情報No.125

医療安全情報No.125(H29.4.18)(PDFファイル1155KB)

術前に中止する薬剤の把握不足-経口避妊剤-

添付文書上、手術前4週以内の患者には「禁忌」と記載がある経口避妊剤を中止しなかったため、手術が延期になった事例が報告されています。

事例1)6ヶ月前、外来で初診を担当した医師Aは、患者がアンジュ錠を内服していることを問診票で確認していたが、担当を交代した医師Bへ伝えていなかった。その後、医師Bは、アンジュ錠は「手術前4週以内は禁忌」であると知っていたが、患者が内服していることを把握していなかったため、外来で中止の指示をしなかった。入院後、患者からの申し出によりアンジュ錠を内服していることが分かり、手術が延期となった。

事例2)患者は外科外来を受診し、約1ヶ月後に手術の予定となった。その際、患者はトリキュラー錠を内服していることを医師に伝えたが、医師は「手術前4週以内は禁忌」であることに気付かず、トリキュラー錠の中止の指示をしなかった。看護師は、入院6日前に入院オリエンテーションを行った際、患者がトリキュラー錠を内服していることを知ったが、手術前に中止が必要な薬剤であるという知識がなかった。入院後、トリキュラー錠が中止されていないことに薬剤師が気付き、手術が延期となった。

事例が発生した医療機関の取り組み

・経口避妊剤は、手術前4週以内は内服禁忌であることを院内に周知する。
・薬剤師は、手術が決定した外来診察日に患者の内服薬の鑑別を行い、医師に情報提供する。

総合評価部会の意見

・術前チェックリストの中に内服禁忌の薬剤を明示し、確認を徹底しましょう。

 

PMDA医療安全情報No.50

PMDA医療安全情報No.50(H29.3.27)PDFファイル661KB

シリンジポンプセット時の注意について

事例)シリンジポンプにセットしたシリンジの薬液の残量を確認するため訪室したところ、シリンジのフランジがスリットにセットされていなかった。

シリンジポンプセット時の注意点について

シリンジがシリンジポンプに正しくセットされていることを確認すること。

その他の注意点

シリンジポンプのセット誤り以外にも、流量設定時の小数点や桁数の入力間違いや開始ボタンの押し忘れの事例があります。
スタートボタンを押す前に、もう一度設定流量の確認をしましょう。

 

医療安全情報No.124

医療安全情報No.124(H29.3.14)(PDFファイル1130KB)

2016年に提供した医療安全情報

2016年1月~12月に医療安全情報No.110~No.121を提供いたしました。今一度ご確認ください。

以下の再発・類似事例が報告されています。

  • No.113 中心静脈カテーテル抜去後の空気塞栓症
    医師は中心静脈カテーテル(ブラッドアクセスカテーテル)を抜去する際、座位で抜去した場合に空気塞栓症を起こす可能性を考慮しておらず、患者の姿勢が保持しやすいと考えて座位で抜去した。その後、患者の意識レベルは低下し、PEA(pulseless electrical activity)になった。カテーテル抜去部から空気が流入したことによる空気塞栓症と考えられた。
  • No.116 与薬時の患者取り違え
    看護師は配薬する際、患者Aを向かい側のベッドの患者Bと勘違いをした。患者に氏名を名乗ってもらう、薬包の患者氏名とネームバンドを照合するなどの確認を行わないまま、患者Aに患者Bのアンカロン錠200mgとエリキュース錠5mgを配薬した。その後、患者Bの薬を患者Aが内服したことに気付いた。誤って患者Bの薬を内服したことにより、患者Aの手術は延期となった。
  • No.117 他施設からの食種情報の確認不足
    転院時のサマリーには食種が「全粥」と記載されていたが、看護師は入院時にその情報を認識していなかった。そのため、患者の朝食にパンが出ていた。看護師は朝食のセッティングを行い、患者がパンを摂取していることを確認した。8分後に訪室した際、患者の口にパンがつまっており、チアノーゼを起こしてベッド上に倒れていた。

PMDA医療安全情報No.33改訂

PMDA医療安全情報No.33改訂(H29.3.6)(PDFファイル1023KB)

光源装置、電気メス、レーザメスを用いた手術時の熱傷事故について

事例1)腹腔鏡下手術中、光源を点灯させた状態の硬性内視鏡をドレープの上に置いていたところ、ドレープが焦げて患者の大腿部にやけどを認めた。

事例2)手術中、電気メスをドレープの上に置いていたところ、ドレープが焦げて患者の大腿部にやけどを認めた。

事例3)手術中、レーザメスをドレープの上に置いていたところ、ドレープが発火し患者の大腿部にやけどを認めた。

医療安全情報No.123

医療安全情報No.123(H29.2.15)(PDFファイル1106KB)

永久気管孔へのフィルムドレッシング材の貼付

患者の頚部の孔を永久気管孔と認識せず、塞いだ事例が報告されています。

  1. 事例) 入院時の担当看護師は、医師より患者が永久気管孔の造設後であることを聞き、看護プロファイルに入力した。入院後、初めてのシャワー浴の際、看護師Aと看護師Bは患者の頚部の孔が永久気管孔であることを知らないまま、2人で相談し、湯の流入を防ぐ目的で頚部の孔をガーゼとフィルムドレッシング材で保護した。その際、たまたま上部が完全に塞がれておらず、患者の「苦しくない」という口の動きを確認した。その後、患者のシャワー浴を担当することになった看護師Cも永久気管孔を造設していることを知らず、頚部のフィルムドレッシング材の上部が空いているのを見て湯が入ると思い、さらに上部を塞いだ。シャワー浴を開始して1分もしないうちに患者の全身色が不良となり、意識を消失した。頚部に貼っていたフィルムドレッシング材を剥がすと、患者は呼吸を開始し、意識を回復した。
  2. 事例が発生した医療機関の取り組み
    ・電子カルテやカンファレンスを活用して、患者が永久気管孔の造設後であることを情報共有する。
    ・入浴担当者は、患者の疾患や状態を理解したうえで、介助を行う。
  3. 総合評価部会の意見
    ・頚部の孔がある場合、その孔が永久気管孔であるかどうか確認しましょう。 ・永久気管孔をフィルムドレッシング材で塞ぐと、呼吸ができません。

医療安全情報No.122

医療安全情報No.122(H29.1.16)(PDFファイル1125KB)

透析前の体重測定の誤り

適切な方法で体重を測定しなかったため、誤った体重をもとに透析を行い、過除水や除水不足となった事例が報告されています。

 

事例1)ICUで患者の体重を測定し、透析を行った。翌日もICUで同じ設定で体重を測定し、透析を行った。3日目、透析室で透析を行う際に体重を測定したところ、患者の体重が目標体重より減っていた。ICUに問合せがあり、ICUのリフト式体重計のパネルを確認したところ、この体重計はストレッチャーシーツ分の重さとして、あらかじめ「-3kg」と設定して測定することになっていたが、「3kg」と設定されていた。そのため、ICUでは6kg多い体重をもとに除水量を計算して透析を行い、過除水になっていたことが分かった。

事例2)透析の際、当該患者の体重には義足を含めることになっていたが、看護師はこの患者の体重には義足を含めないと思い込んでいた。看護師は、義足を装着して車椅子に乗った患者の重さを測定した。その後、車椅子と義足の重さを測定し、最初に測定
した重さから差し引いた値を体重としたため、義足分の1.3kg少ない体重となった。その体重をもとに除水量を計算して透析を行ったため除水不足となり、翌日に追加の透析が必要となった。

[事例が発生した医療機関の取り組み]

透析前の体重測定の際に、体重計の設定や測定時の条件を確認する。