医療関係の皆さまへ

2016年

医療安全情報No.121

医療安全情報No.121(H28.12.15)(PDFファイル1139KB)

経鼻栄養チューブの誤挿入

経鼻栄養チューブを挿入後、気泡音の聴取のみで胃内に入ったと判断したが、実際には気道に誤挿入されていた事例が報告されています。いずれも、誤挿入のまま栄養剤や内服薬を注入し、患者の呼吸状態に影響があった事例です。

事例1)医師は、気管切開している患者に経鼻栄養チューブを挿入後、気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。その後、看護師が栄養剤の注入を開始したところ、患者は咳き込み、呼吸苦を訴えた。医師は気管孔から気管支鏡を行い、気管内に経鼻栄養チューブが挿入されていることが分かった。

事例2)看護師は経鼻栄養チューブを挿入後、胃内容物を吸引できなかったが、他の看護師と2名で気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。看護師は、内服薬を注入する前に、再度、他の看護師と気泡音を聴取した。内服薬を溶かした白湯を注入したところ、咳嗽が出現しSpO2が80%前後に低下した。胸部エックス線撮影を行い、右気管支に経鼻栄養チューブが挿入されていることが分かった。

事例が発生した医療機関の取り組み

経鼻栄養チューブの挿入後、胃内容物を吸引して胃内に入ったことを確認する。胃内容物が吸引できない場合、エックス線撮影によりチューブの先端の位置を確認する。

PMDA医療情報No.49

PMDA医療安全情報No.49(H28.11.16)(PDFファイル763KB)

抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)について(その2)

  1. 抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の服用方法等について
  2. 抗リウマチ剤メトトレキサート製剤を取扱う時の注意その1
    (事例) 入院となった関節リウマチ患者さんの持参薬のメトトレキサート製剤に、服薬日時欄の記載が無かったため、看護師が連日配薬してしまった。
  3. 抗リウマチ剤メトトレキサート製剤を取扱う時の注意その2
    (事例) 数年前からメトトレキサート製剤を服用している関節リウマチ患者さんが、自己判断で、過去に処方されたメトトレキサート製剤の残薬を連日服用してしまった。

 

医療安全情報No.120

医療安全情報No.120(H28.11.15)(PDFファイル1121KB)

 

薬剤名の表示がない注射器に入った薬剤の誤投与

薬剤名の表示がない注射器に入った薬剤を投与したところ、意図した薬剤とは別の薬剤であった事例が報告されています。

事例1)小児患者のMRI検査のため、医師は病棟でチトゾール注用0.5gを溶解後、5mLの注射器に小分けにして検査室に持参した。その際、注射器に薬剤名・患者氏名を明記することになっていたがしていなかった。医師は、検査室の台に自分の白衣とチトゾールの注射器を置いた。造影剤は準備されていなかったが、診療放射線技師は、台に置いてある注射器に他の技師が準備した造影剤が入っていると思い込み、医師へ手渡した。医師は造影剤にしては量が少し多いと思ったが確認しないまま、患者の状態を観察しながら投与した。投与直後に患者の呼吸数が低下し、間違いに気付いた。

事例2)看護師は、ビソルボン注の急速静注とヘパリンの持続静注の更新のため、トレイを持って部屋に行った。トレイには、薬剤名のラベルを貼ったビソルボン注の注射器とビソルボン注の投与前後に注入する生理食塩液20mLの注射器、ラベルのないヘパリン1万単位+生理食塩液(合計20mL)の注射器の計3本が入っていた。看護師は、ラベルのない注射器に生理食塩液が入っていると思い込み、ビソルボン注の投与前後に全量投与した。その後、別の看護師がトレイ内に生理食塩液が残っているのを発見し、誤ってヘパリン調製液を投与したことに気付いた。

事例が発生した医療機関の取り組み

・注射器には必ず薬剤名を表示し、投与直前に確認する。

医療安全情報No.119

医療安全情報No.119(H28.10.17)(PDFファイル1156KB)

シリンジポンプの薬剤量や溶液量の設定間違い

シリンジポンプの薬剤量や溶液量の入力を間違えたため、設定上誤った濃度となり、意図しない流量で薬剤を投与した事例が報告されています。

事例1)シリンジポンプでプロポフォールを投与する際、薬剤量「10mg」、溶液量「1mL」と設定しようとしたところ、薬剤量を「1mg」と誤って入力した。そのため、実際の10分の1の濃度に設定され、投与予定の10倍に換算された流量で開始した。投与開始3分後、シリンジポンプの設定の誤りに気づき投与を中止した。

事例2)医師は、アルチバを溶解しシリンジポンプにセット後、体重「60kg」、薬剤量「0.1mg」、溶液量「1mL」、投与量「0.5μg/kg/min」と設定したつもりであった。投与開始直後に血圧低下を認めたため確認すると、溶液量を「5mL」と誤って入力していた。そのため、実際の5分の1の濃度に設定され、投与予定の5倍に換算された流量で投与していた。医師は、表示された流量を投与前に確認していなかった。

事例が発生した医療機関の取り組み

シリンジポンプに設定した薬剤量や溶液量を投与開始直前に確認する。

医療安全情報No.118

医療安全情報No.118(H28.9.15)(PDFファイル1231KB)

外観の類似した薬剤の取り違え

薬剤を取り違えた背景・要因として、アンプルや包装の色が類似していたと記載されている事例の報告があります。いずれも、薬剤名を確認していなかった事例です。

事例1)手術中、患者が吐き気、気分不快感を訴えた。術者の医師Aより「プリンペランiv」と口頭指示が出た際、看護師は他の処置を行っていたため、医師Bがプリンペランは茶色のアンプルという認識で薬剤を取り出し、一人で準備し、投与した。その後、患者の血圧は60~80mmHg台となりエフェドリンを投与した。手術終了後、看護師が術中使用した薬剤のアンプルを確認した際、プリンペランの空アンプルがなく、使用していないはずのペルジピンの空アンプルがあった。医師Bに確認したところ、薬剤を取り違えてペルジピンを投与したことが分かった。

事例2)患者は外来を受診し、保険薬局で内服薬を受け取り、帰宅した。受診後より食欲不振、倦怠感が強く、歩行困難となった。2日後、症状が改善しないため外来を受診し、脱水状態で入院となった。入院後、持参薬を確認したところ「ワーファリン錠1mg3錠 1日1回夕食後」の薬袋に、ラシックス錠40mgが入っていることに気付いた。保険薬局へ確認すると、薬剤師は調剤の際に同じ棚の赤いPTP包装を見てワーファリン錠だと思い込み、鑑査でも間違いに気付かないまま患者に渡していたことが分かった。

事例が発生した医療機関の取り組み

・薬剤を手に取った際、アンプルや包装に記載された薬剤名を確認する。

医療安全情報No.117

医療安全情報No.117(H28.8.15)(PDFファイル1135KB)

他施設からの食種情報の確認不足

  • 食種に関する情報を確認しなかったため、患者に適さない食事を提供した事例が報告されています。
  •  事例1)医師は入院時の食事の指示をする際に、診療情報提供書に記載された食種を確認せず、「常食」と入力した。看護師は食事をセッティングした際、患者の咀嚼・嚥下状態を観察しなかった。15分後、患者がむせていると報告があり訪室すると、SpO2は80%に低下していた。米飯が多量に吸引され、SpO2は97%に改善した。その後、看護師が転入前の食種を確認すると、前医では「全粥・粗刻み食」を提供していたことが分かった。
  • 事例2)医師は入院時の食事の指示をする際に、転入前の施設から食種に関する情報を得ていなかったため、とりあえず「常食」をオーダした。看護師は夕食のセッティングをして、食事の摂取を3口ほど見守り退室した。その後、食事摂
    取状況の確認のために訪室すると、患者はベッド上でぐったりしており、呼名に反応せず、口腔内にはミカンや米飯などが多量にあった。入院時に患者が持参した看護サマリに「全粥・軟菜・刻み食」と食種が記載されていたが、看護師は確認していなかった。
  • 事例が発生した医療機関の取り組み
    他施設からの診療情報提供書や看護サマリを確認し、患者に適した食種を選択する。

医療安全情報No.116

医療安全情報No.116(H28.7.15)(PDFファイル1147KB)

与薬時の患者取り違え
与薬時、患者氏名を確認しなかった、または確認する方法が適切でなかったため、患者を取り違えた事例が報告されています。

事例1)看護師は、患者Bの氏名が記載してある薬を持って患者Aのところに行った。看護師は患者Aを患者Bと思い、患者Bの薬を見せながら「Bさんですね」とフルネームで声をかけた。患者Aは「はい」と返答し、患者Bのフロセミド錠40mg1錠を内服した。看護師は、その直後に患者Aのネームバンドの名前が目に入り、間違いに気づいた。

事例2)看護師は、患者Bに睡眠薬を投与する際、患者Aを患者Bと思い込み、同性で同年代の患者Aの病室に行った。看護師は、薬包の患者氏名とネームバンドの照合を行わず、患者Bの薬を患者Aの胃管より投与した。その後、患者Aが舌根沈下を起こした際、看護師は患者Aには睡眠薬の指示がなかったことに気付いた。患者Aのゴミ箱を見ると患者Bの氏名が記載された空の薬包があった。
事例が発生した医療機関の取り組み
・与薬時、薬包などの氏名とネームバンドを照合する。
・口頭で患者を確認する際は、患者に氏名を名乗ってもらい、薬包などの氏名と照合する。

医療安全情報No.115

医療安全情報No.115(H28.6.15)(PDFファイル1165KB)

◆医療安全情報No.62~97の再発・類似事例件数です。
◆再発・類似事例が5件以上報告された医療安全情報は、事例を掲載しています。

2015年にも再発・類似事例が発生しています

No.62 患者の体内に植込まれた医療機器の不十分な確認 2件
No.63 画像診断報告書の確認不足 11件
No.65 救急カートに配置された薬剤の取り違え 3件
No.66 インスリン含量の誤認(第2報) 第1報 : 医療安全情報No.1  3件
No.68 薬剤の取り違え(第2報) 第1報 : 医療安全情報No.4  4件
No.69 アレルギーのある食物の提供  1件
No.71 病理診断報告書の確認忘れ  5件
No.72 硬膜外腔に持続注入する薬剤の誤った接続  1件
No.73 放射線検査での患者取り違え 2件
No.75 輸液ポンプ等の流量と予定量の入力間違い  1件
No.77 ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎(第2報) 第1報 : 医療安全情報No.33 2件
No.78 持参薬を院内の処方に切り替える際の処方量間違い 4件
No.80 膀胱留置カテーテルによる尿道損傷 10件
No.81 ベッド操作時のサイドレール等のすき間への挟み込み  2件
No.82 PTPシートの誤飲(第2報) 第1報 : 医療安全情報No.57 11件
No.83 脳脊髄液ドレナージ回路を開放する際の誤り  1件
No.85 移動時のドレーン・チューブ類の偶発的な抜去   7件
No.86 禁忌薬剤の投与  1件
No.92 人工呼吸器の配管の接続忘れ  1件
No.94 MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み(第2報) 第1報 : 医療安全情報No.10  4件
No.95 セントラルモニタの送信機の電池切れ  2件
No.97  肺炎球菌ワクチンの製剤の選択間違い 1件

医療安全情報No.114

医療安全情報No.114(H28.5.16)(PDFファイル1139KB)

抗凝固剤・抗血小板剤の再開忘れ

観血的医療行為のために中止していた抗凝固剤または抗血小板剤の再開を忘れたことにより、患者に影響があった事例が報告されています。

事例1)医師は手術のため、患者の抗凝固剤(ワーファリン錠)を中止した。術後出血のリスクを考え、抗凝固剤の再開時期を遅らせる予定であったが、そのまま再開していなかった。術後17日目、医師が患者に声をかけると反応がなかったため頭部CT検査を行ったところ、脳梗塞を認めた。

事例2)手術の1週間前より抗血小板剤(バイアスピリン錠)を中止した。医師は入院時指示に「手術翌日よりバイアスピリン錠再開」と記載したが、看護師は指示を見落とし再開していなかった。術後9日目、患者が傾眠傾向であったため頭部MRI検査を行ったところ、多発性の脳梗塞を認めた。

<事例が発生した医療機関の取り組み>

・術後指示に抗凝固剤や抗血小板剤の再開日の記入欄を追加する。

・病棟薬剤師は、術後の抗凝固剤や抗血小板剤の内服状況について、医師に情報提供する。

医療安全情報No.113

医療安全情報No.113(H28.4.15)(PDFファイル1167KB)

中心静脈カテーテル抜去後の空気塞栓症

  • 座位で中心静脈カテーテルを抜去したため、血管内に空気が流入した事例が3件報告されています
    (集計期間:2012年1月1日~2016年2月29日)。
    この情報は、第43回報告書「個別のテーマの検討状況」(P133)で取り上げた内容を基に作成しました。
  • 事例1)医師は中心静脈カテーテル(ブラッドアクセス)の抜去のため訪室したところ、患者は座っていた。医師は座位で抜去することの危険性を知らず、座位のまま中心静脈カテーテルを抜去した。その後、患者は呼吸困難を生じ、脳梗塞を発症した。カテーテル抜去部から空気が血管内に流入したことによる空気塞栓症と考えられた。
  • 事例2)研修医は中心静脈カテーテル(ダブルルーメン)を抜去する際、仰臥位またはトレンデレンブルグ位とすることを知らず、患者に座位のまま息止めをしてもらい抜去した。研修医は抜去部を約3分間圧迫後、数分かけて皮膚に残っていた糸を除去した。その際、患者は気分不良を訴え、意識消失した。CTを撮影したところ、右内頚静脈内に少量のガス像を認め、中心静脈カテーテル抜去後の空気塞栓症と考えられた。
  • 事例が発生した医療機関の取り組み
    ・「中心静脈カテーテル抜去の方法」のマニュアルを作成する。
    ○体位は仰臥位またはトレンデレンブルグ位とする。
    ○吸気後に息を止めてもらいカテーテルを抜去する。
    ○抜去部は5分以上圧迫する。
    ○抜去部は密閉性の高いドレッシング材で覆う。
    ・中心静脈カテーテルの研修会の内容に、抜去時の注意事項を追加する。

医療安全情報No.112

医療安全情報No.112(H28.3.14)(PDFファイル1144KB)

2015年に提供した医療安全情報

2015年1月~12月に医療安全情報No.98~No.109を毎月1回提供いたしました。今一度ご確認ください。

◆以下の類似事例が発生しています。

  • No.99 胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え
  • No.104 腫瘍用薬処方時の体重間違い
  • No.106 小児の薬剤の調製間違い

医療安全情報No.111

医療安全情報No.111(H28.2.15)(PDFファイル1147KB)

パニック値の緊急連絡の遅れ

  • パニック値の緊急連絡が医師に伝わらなかったため、患者の治療が遅れた事例が報告されています。
  • 事例1)診察前に実施した血液検査でヘモグロビン値が低下していたため、鉄剤を処方され、患者は帰宅した。診察時、血糖値は「検査中」と表示されていたが、実際は異常値で再検中であった。患者の血糖値は800mg/dLであったため、本来であればパニック値として検査部より医師に報告するところ、臨床検査技師は昼休憩の時間帯で人数が少なかったため余裕がなく、連絡を忘れた。10日後、患者から倦怠感があると電話があり、医師が前回の検査結果を確認したところ血糖値が800mg/dLであったことが分かり、入院となった。
  • 事例2)外来で採血後、患者は入院した。患者は全身倦怠感があり、血圧80/50mmHg、呼吸促迫状態でSpO2が89%であることを病棟看護師は確認した。臨床検査技師は血清カリウム値がパニック値(6.4mEq/L)であったため、再検後に外来看護師に報告した。外来看護師より、病棟に直接連絡してほしいと依頼があり、臨床検査技師は病棟の看護師に報告した。病棟看護師は主治医が不在時の連絡方法を知らず、パニック値が医師に伝わらなかった。
  • 事例が発生した医療機関の取り組み
    ・検査値がパニック値であった場合の報告手順を院内に周知する。
    ・検査部では、パニック値の連絡を行った際、検査結果、連絡者、連絡先医師名を記録に残す。
    ・主治医不在時の連絡・対応体制を構築し、周知する。

PMDA医療安全情報No.48

PMDA医療安全情報No.48(H28.1.25)(PDFファイル1033KB)

三方活栓の取扱い時の注意について

事例1)点滴チューブを側管に接続した際、三方活栓の向きを変えずに点滴開始をしたため、30分間薬液が流れず、シリンジポンプの閉塞アラームが鳴って気がついた。

事例2)処置のため、一時的に三方活栓の患者側をOFFにした後、元に戻すのを忘れ、輸液ポンプの閉塞アラームが鳴って気がついた。

事例3)三方活栓に、プラグ/バルブと点滴チューブを接続し抗生剤を投与した。抗生剤投与終了後、点滴チューブを外す際に、誤ってプラグごと外し、患者の血液が漏出した。

事例4)中心静脈カテーテルに複数の三方活栓を接続して使用。ベッドをリクライニング後、しばらくして三方活栓同士の接続が外れ、血液と輸液が漏れているのを発見した。

三方活栓使用時の注意点

・三方活栓使用時は、コック/バーの位置を確認すること。

・三方活栓から点滴チューブを外す際は、誤ってプラグ/バルブごとを外さないように注意すること。

・三方活栓同士を接続して使用する必要がある場合は、身体の下等への挟まれや引っ張りによる接続部外れ、破損等に注意すること。

・接続部のゆるみ、外れ、薬液漏れ等について定期的に確認すること。

 

医療安全情報No.110

医療安全情報No.110(H28.1.15)(PDFファイル1150KB)

誤った患者への輸血(第2報)

輸血用血液製剤を接続する直前に、患者と使用すべき製剤の照合を行わなかった事例が再び報告されています。
そのうち13件は、照合に用いる認証システムがあったにもかかわらず、使用しなかった、または使用したが適切でなかった事例です。

事例1)医師は、輸血部から患者AのRCC-LR(A型)が届いた際、伝票と製剤の照合に続いて開始入力(患者と製剤の照合)を行った。しかし、FFPを輸血中であったため、看護師XにRCC-LRを保冷庫に保管するよう伝えた。看護師Xはベッド番号を記入したトレイにRCC-LRを入れて保冷庫に保管し、「開始入力済」であると看護師Yに申し送った。看護師Yは、患者AのRCC-LRを準備する際、トレイの番号を見誤り、患者BのRCC-LR(AB型)を取り出し、点滴棒にかけた。その後、看護師Yは看護ケア中にFFPが終了することに気づき、点滴棒にかけていた患者BのRCC-LRを、照合しないまま接続した。患者Bの輸血がないと報告があったため確認したところ、患者Aに患者BのRCC-LRを投与したことがわかった。

 

事例2)患者(A型)にFFPが投与されていた。看護師は次に投与するFFPを準備をする際、冷凍庫から患者A(A型)のFFPを取り出すつもりで、引き出しが上下に隣接しており残数も同じO型のFFPを取り出し、確認しないまま解凍器にセットした。その後、バーコードによる輸血認証をしたところ、血液型が異なるというエラーが認証システムの画面上に表示されたが、看護師はエラーは機械の故障によるものと思い込み、そのまま接続した。輸血伝票の処理を行っていた際、輸血バッグに付いているシールの色が違うことに気づき、誤ったFFPを投与したことが分かった。

 

事例が発生した医療機関の取り組み

院内の輸血マニュアルを遵守し、輸血用血液製剤を接続する直前に、 患者と投与する製剤の照合を行う。