医療関係の皆さまへ

2018年

医療安全情報No.138

医療安全情報No.138(H30.5.15)(PDFファイル1145KB)

画像診断報告書の確認不足(第2報)

画像を確認した後、画像診断報告書を確認しなかったため、検査目的以外の所見に気付かず、
治療が遅れた事例が報告されています。

事 例 1
外来診察日に肝内胆管癌術後のフォローアップでCT検査を行った。CT検査後、主治医は画像を見て患者に説明し、その後画像診断報告書の確認を忘れた。5ヶ月後、再度CT検査を行った。放射線科医師が過去のCT画像と比較しようとしたところ、5ヶ月前の画像診断報告書が未読であり、肺癌疑いと記載されていることに気付き、主治医に連絡した。

事 例 2
外来診察日に腎癌の精査で造影CT検査を行った。医師は外来診察中に画像を見て患者に説明し、その後画像診断報告書の確認を忘れた。患者が腎癌の手術目的で入院した際、担当医は3ヶ月前に実施した造影CT検査の画像診断報告書に肝臓に悪性腫瘍の転移が疑われ精査するよう記載されていることに気付いた。

 

医療安全情報No.137

医療安全情報No.137(H30.4.16)(PDFファイル1141KB)

ホットパック使用時に熱傷をきたした事例が報告されています。

事 例 1
看護師は、ホットパックを電子レンジで加熱し専用の袋に入れ、患者の上肢に
当てて温罨法を開始した。しばらくして患者は熱くなってきたと感じたが、自分で
ホットパックを外してよいか分からずそのままにしていた。約1時間後に看護師
がホットパックを外すと、当てていた部位に発赤が生じていた。皮膚科医師が
診察し、患者は 低温熱傷と診断された。
事 例 2
看護師は、患者の採血が困難なため、左前腕を温めることにした。当該ホット
パックはカバーに入れることになっていたが、入れないまま左前腕を温め、1回目
の採血を実施した。実施後もホットパックを同一部位に当て続け、約30分後に
2回目の採血を実施した。その後、左前腕に発赤と水疱が生じていることに気付
いた。皮膚科医師が診察し、患者は低温熱傷と診断された。

PMDA医療安全情報No.53

PMDA医療安全情報No.53(H30.3.30)(PDFファイル727KB)

製品分野間の誤接続を防止する目的で、国際的に規格(コネクタ形状)の変更が進められている。国内においても準備が整い次第、分野毎に新規格製品の販売が順次開始される見込み。

新規格製品と旧規格製品との間で接続ができなくなります !

新規格製品導入による医療現場の混乱を避けるため、適切な在庫管理と施設内関係者への情報共有が重要であり、施設毎に以下のような対応を検討すること。

  • 情報一元化のため、販売業者等との調整を行う担当部署と責任者(医療機器安全管理責任者等)を決定してください。
  •  製品の切替えを漏れなく確実に行えるよう、分野ごとに対象となる製品リストを作成し、
    変換コネクタの取扱いを確認してください。
  •  販売業者等に切替え開始時期・供給終了時期等の確認をし、施設内の切替え方法やスケジュールを検討してください。
  • 販売業者または担当部署(責任者)が説明会などを行い、施設内関係者に周知してください。
  • 接続不可能な製品の混在を防止するための製品保管方法を検討してください。

医療安全情報No.136

医療安全情報No.136(H30.3.12)(PDFファイル1119KB)

2017年に提供した医療安全情報

2017年1月~12月に医療安全情報No.122~No.133を提供いたしました。今一度ご確認ください。

  • No.122 ★透析前の体重測定の誤り
  • No123 永久気管孔へのフィルムドレッシング材の貼付
  • No.124 2016年に提供した医療安全情報
  • No.125 術前に中止する薬剤の把握不足-経口避妊剤-
  • No.126 輸液中の四肢からの採血
  • No.127 2013年から2015年に提供した医療安全情報
  • No.128 手術部位の左右の取り違え-脳神経外科手術-
  • No.129 併用禁忌の薬剤の投与(第2報)
  • No.130★中心静脈ラインの開放による空気塞栓症
  • No.131★インスリン単位の誤解(第2報)
  • No.132★オーバーテーブルを支えにした患者の転倒
  • No.133★胸腔ドレーンの大気への開放
  • ★のタイトルについては、提供後、2017年12月31日までに再発・類似事例が報告されています。

医療安全情報No.135

医療安全情報No.135(H30.2.15)(PDFファイル1162KB)

「スタンバイ」にした人工呼吸器の開始忘れ(第2報)

人工呼吸器を「スタンバイ」の状態で患者に装着し、換気を開始しなかった事例が再び報告されています。

事例1)CT検査のため人工呼吸器からジャクソンリースに変更した際に、担当医は人工呼吸器をスタンバイの状態にした。帰室後、他の医師、看護師は患者に人工呼吸器を装着したが、スタンバイの状態になっていることに気付かなかった。約4分後、患者は心肺停止になった。

事例2)医師と看護師で人工呼吸器をスタンバイの状態にして気管吸引を行った後、人工呼吸器を装着した。その際、医師、看護師ともに相手がスタンバイの状態を解除したと思い、人工呼吸器が作動しているか確認しなかった。約10分後、患者は徐脈、低血圧になった。昇圧剤の投与中に人工呼吸器がスタンバイの状態になっていることに気付いた。

事例が発生した医療機関の取り組み
・人工呼吸器装着後は、胸郭の動きや人工呼吸器の画面を見て換気されていることを確認する。
・気管吸引時には、人工呼吸器をスタンバイの状態にしない。

医療安全情報情報No.134

医療安全情報No.134(H30.1.15)(PDFファイル1137KB)

清潔野における消毒剤の誤った投与

消毒剤の入った容器が使用後も清潔野に置いてあり、誤って消毒剤を投与した事例が報告されています。

  • 事例1)冠動脈造影を行う際、消毒剤(ハイポエタノール液2%)と造影剤がサイズ・形状の似た容器に準備されていた。2つの容器には薬剤名の表示はなかった。医師Aは造影剤を注射器に吸うよう医師Bへ指示した。医師Bは消毒剤を造影剤と思い込んで注射器に吸い、医師Aに渡した。医師Aは注射器に入った消毒剤を冠動脈に注入した。
  • 事例2)手術の際、プラスチックの容器に消毒剤(ヂアミトール水)と綿球、局所麻酔剤と記載のあるビーカーにキシロカインが準備されていた。綿球を全て使用して術野を消毒後、器械台には消毒剤が入った容器とキシロカインが入ったビーカーがあり、どちらも透明な薬液であった。局所麻酔をする際、助手の医師はキシロカインと間違え、消毒剤を注射器に吸い術者に渡した。術者は注射器に入った消毒剤を皮下注射した。
  • 事例が発生した医療機関の取り組み
    1)消毒後は、消毒剤を入れた容器を清潔野に置かない。
    2)清潔野で使用する容器に薬剤名を明示する。