リウマチの原因

関節リウマチは、30~50才代の女性に起こりやすく、手指、手、肘、肩、足、膝、股などのたくさんの関節に痛みと腫れが出現する病気です。原因は、いまだ不明と言わざるを得ませんが、関節の滑膜という場所に変化が起こるのが始まりで、この滑膜がどんどんはれて、厚くなり関節のみならず骨をも壊して、関節の変形をもたらします。このような滑膜の変化(滑膜炎)は、体の中の免疫という仕組みがおかしくなって起こることがわかってきました。免疫とは、簡単に言えば体を守る一番大事な働きをしており、体に侵入してきた細菌やウイルスを殺してくれる機構ですが、リウマチの場合や膠原病では、この免疫機構がおかしくなり自分の体を攻撃して、壊そうとするので病気になってしまうということが判ってきました。例えて言えば、自分を守ってくれると考えていた防衛軍が反乱し自分自身に刃を向けて攻撃してきたようなものです。すなわち、リウマチの初期はウイルスなどの感染症で起こる関節炎(滑膜炎)と変わらない変化ですが、リウマチでは滑膜炎が持続します。次に免疫で一番大事なT細胞が滑膜を含めた色々な抗原に対して反応(自己免疫)し、滑膜の増殖、血管新生あるいは自己抗体(リウマトイド因子、抗CCP抗体)の産生などを促します。そして、滑膜が増殖して、色々な炎症生物質(サイトカイン)や軟骨を障害するタンパク分解酵素などを分泌し、滑膜自体も軟骨・骨を壊してリウマチの病変が完成します。

遺伝と環境

 よくリウマチの患者さんからこの病気は遺伝するのですかと質問されます。まず、最初に断っておかねばならないのは、リウマチは遺伝病ではありません。高血圧や糖尿病のようになりやすい体質は遺伝しますが、リウマチを発症するには他の環境因子が大きな働きをしています。例えば、遺伝子が全く同じな一卵性双生児でも2人ともリウマチになる確率は約15%です。また、家族内発症は通常の3.6倍なりやすいと報告されています。従って、肉親にリウマチの患者さんがいた場合は、普通より確かになりやすいのですが心配する程ではありません。色々な研究でわかって来た事は、HLAという白血球の血液型の中でHLA-DR4があるとリウマチになりやすいという事です。また、タバコを吸う方は、リウマチになりやすく、感染症もこの病気を引き起こすきっかけになるという事です。

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