医療安全情報No.175

医療安全情報No.175(R.03.07.01)(PDFファイル218KB)

2020年に報告書で取り上げた医療安全情報

2020年に公表した医療事故情報収集等事業 第60回~第63回報告書の「再発・類似事例の分析」で取り上げた医療安全情報のタイトルと主な事例を紹介します。

◆新生児の沐浴時の熱傷
新人看護師は患児(日齢17)の沐浴を行う際、蛇口の温度調整ハンドルが約60℃に設定されていることに気付かず、沐浴槽に湯を溜めた。温度計が設置されておらず、湯の温度を測定しなかった。看護師は手袋を二重に装着しており、湯の温度が高いことに気付かず沐浴を実施し、患児は腰背部から下肢に熱傷を生じた。

◆静脈内投与する薬剤の動脈への注入
心筋梗塞の患者に、左鼠径部のAシースからIABPカテーテルを挿入し、右鼠径部のVシースから循環作動薬を投与していた。塩化カリウム製剤入りの輸液を輸液ポンプを使用して投与する際、看護師は誤って左鼠径部のAシースに付いていた三方活栓に接続した。その後、複数の看護師が関わったが間違いに気付かなかった。翌日の午後、主治医の指摘でAシースから輸液を投与していたことが判明した。

◆メトトレキサート製剤の連日服用
医師はリウマトレックスカプセルを6mg/週から8mg/週へ増量する際、処方箋のコメントに「週1回(月曜日)に服用」と記載したが、誤って他の薬剤と一緒に28日分を院外処方した。かかりつけの保険薬局の薬剤師は、処方日数について疑義照会をしなかった。また、薬剤師は、薬袋に内服日を記載せず、患者が服用日を理解していると判断し説明をしなかった。患者は、おかしいと感じながらも、連日服用した。28日後の定期診察時、リウマトレックスカプセル服用による副作用が疑われ入院となった。病棟薬剤師が患者に確認したところ、連日服用していたことが判明した。