医療安全情報No.177

医療安全情報No.177(R.03.08.16)(PDFファイル222KB)

PTPシートの誤飲(第3報)
◆PTP(Press Through Package)シートは、薬剤をプラスチックやアルミ等で貼り合わせて包装したものです。

医療安全情報No.57(2011年8月)および医療安全情報No.82(2013年9月)で、PTPシートを誤飲した事例を取り上げました。その後、類似の事例が52件報告されています。そのうち、32件は看護師がPTPシートのまま患者に渡した事例です
(集計期間:2016年7月1日~2021年6月30日)。

医療安全情報No.176

医療安全情報No.176(R.03.07.16)(PDFファイル207KB)

人工呼吸器を使用中、回路の接続が外れていた、または緩んでいたため患者に影響があった事例が39件報告されています(集計期間:2017年1月1日~2021年5月31日)。この情報は、第64回報告書「再発・類似事例の分析」で取り上げた内容をもとに作成しました。

 

 

医療安全情報No.175

医療安全情報No.175(R.03.07.01)(PDFファイル218KB)

2020年に報告書で取り上げた医療安全情報

2020年に公表した医療事故情報収集等事業 第60回~第63回報告書の「再発・類似事例の分析」で取り上げた医療安全情報のタイトルと主な事例を紹介します。

◆新生児の沐浴時の熱傷
新人看護師は患児(日齢17)の沐浴を行う際、蛇口の温度調整ハンドルが約60℃に設定されていることに気付かず、沐浴槽に湯を溜めた。温度計が設置されておらず、湯の温度を測定しなかった。看護師は手袋を二重に装着しており、湯の温度が高いことに気付かず沐浴を実施し、患児は腰背部から下肢に熱傷を生じた。

◆静脈内投与する薬剤の動脈への注入
心筋梗塞の患者に、左鼠径部のAシースからIABPカテーテルを挿入し、右鼠径部のVシースから循環作動薬を投与していた。塩化カリウム製剤入りの輸液を輸液ポンプを使用して投与する際、看護師は誤って左鼠径部のAシースに付いていた三方活栓に接続した。その後、複数の看護師が関わったが間違いに気付かなかった。翌日の午後、主治医の指摘でAシースから輸液を投与していたことが判明した。

◆メトトレキサート製剤の連日服用
医師はリウマトレックスカプセルを6mg/週から8mg/週へ増量する際、処方箋のコメントに「週1回(月曜日)に服用」と記載したが、誤って他の薬剤と一緒に28日分を院外処方した。かかりつけの保険薬局の薬剤師は、処方日数について疑義照会をしなかった。また、薬剤師は、薬袋に内服日を記載せず、患者が服用日を理解していると判断し説明をしなかった。患者は、おかしいと感じながらも、連日服用した。28日後の定期診察時、リウマトレックスカプセル服用による副作用が疑われ入院となった。病棟薬剤師が患者に確認したところ、連日服用していたことが判明した。

医療安全情報No.174

医療安全情報No.174(R.03.06.01)(PDFファイル204KB)

インスリン投与後、経腸栄養剤が注入されておらず、患者が低血糖をきたした事例が報告されています。

事 例 1
看護師は、ノボラピッド注22単位を患者に皮下注射した後、経腸栄養剤の滴下を開始した。1時間30分後、シーツに経腸栄養剤が漏れており、接続部を確認すると、経腸栄養剤のルートを経鼻栄養チューブに接続していなかったことに気付いた。患者の血糖値が低下しており、20%ブドウ糖液を投与した。

事 例 2
看護師Aが患者の血糖測定を行い、看護師Bがノボラピッド注10単位を皮下注射した。その後、看護師Aは経腸栄養剤の注入を忘れた。3時間後、主治医の回診時に患者の意識レベルが低下しており、血液検査とCT検査を行った。血糖値が11mg/dLであり、経腸栄養剤が注入されていなかったことが判明し、20%ブドウ糖液と経腸栄養剤を投与した。

医療安全情報No.171

医療安全情報No.171(R03.02.15)(PDFファイル203KB)

免疫抑制・化学療法によりHBVが再活性化し、患者に影響があった事例が報告されています。

事 例 1
患者は、関節リウマチの治療のため数年前より免疫抑制剤が処方されていたが、免疫抑制剤を開始する前にHBs抗原の有無を検査されていなかった。心臓カテーテル検査の目的で入院した際、血液検査でHBs抗原が高値であり、肝胆膵内科にコンサルトした。精査の結果、B型肝炎と診断し、核酸アナログ製剤の投与を開始した。

事 例 2
患者は急性リンパ性白血病で骨髄移植後、免疫抑制剤を使用していた。外来診察時、患者に肝障害が認められたため確認したところ、HBV既感染パターンであり、1~3ヶ月ごとに実施するHBV-DNA定量検査を行っていなかったことに気付いた。精査の結果、HBVの再活性化による急性肝炎と診断し、緊急入院となった。製剤の投与を開始した。

医療安全情報No.170

医療安全情報No.170(R.03.01.15)(PDFファイル201KB)

咀嚼・嚥下機能が低下した患者にオーダした食種と合わない食物が提供され、患者が窒息した事例が報告されています。

事 例 1
当院では、全粥食をオーダした場合に「パン禁止」と入力しないと、献立によりパンが提供されることが
ある。医師はそのことを知らず、嚥下機能が低下した患者に全粥食をオーダした際、「パン禁止」と入力
しなかった。入院3日目、朝食にパンが提供され、看護師Aの見守りのもと患者は食事を開始した。患者は前日までむせ込まずに摂取できていたことから、看護師Aは他患者の対応のため患者のそばを離れた。数分後、看護師Bがモニター上でHR44回/分であることに気付き訪室したところ、患者の呼吸が停止していた。口腔内のパンの塊を取り除き、心肺蘇生を実施し、人工呼吸管理となった。

事 例 2
当院では、軟菜食の朝食の主食はパンに設定されている。医師はそのことを知らず、食種を全粥・
一口大とろみ食から軟菜食に変更した。朝食にパンが提供され、看護師の見守りのもと患者は食事を
開始した。口腔内に食物が残っていたため看護師は止めようとしたが、患者はパンを食べ続け、その後
窒息した。