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高齢者の肺炎球菌ワクチンQ&A

はじめに

日頃、元気で健康的な毎日を送っている方でも、高齢になると体調の変化などのちょっとしたことがきっかけで肺炎を引き起こしやすくなり、急激に症状が進むことがあります。肺炎は、日本の死亡原因の第3位となっていますが、一般に、細菌によって生じる肺炎のうち1/4~1/3は、肺炎球菌が原因と考えられています。65歳以上の高齢者においては肺炎球菌が肺炎の原因菌の第1位を占めています。

平成26年10月1日より高齢者を対象にした肺炎球菌ワクチンの接種費用の一部を公費で負担する定期接種が開始されています。今回は、肺炎球菌やそのワクチンについてQ&Aで説明します。

Q1.肺炎球菌とは?

A1.肺炎球菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染します。日本人の約3~5%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているとされます。これらの菌が何らかのきっかけで進展することで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。肺炎球菌は、莢膜(きょうまく)と呼ばれる厚い膜でおおわれているため、体の持っている免疫機能がはたらきにくいのが特徴です。

Q2.肺炎球菌による感染症はどんな人がかかりやすい?

A2.免疫機能が未発達の5歳未満(とくに2歳未満)の乳幼児と65歳以上の方です。65歳以上の方は健康そうに見えていても加齢とともに、免疫をつかさどる細胞の数が減少し、免疫機能が低下しているため、感染症にかかりやすくなっています。また、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、腎不全などの慢性疾患をお持ちの方や、病気の治療中で免疫力が低下している方、タバコを吸っている方なども感染のリスクが高いことがわかっています。

Q3.肺炎球菌による感染を防ぐにはどうすればいいですか?

A3.肺炎球菌が体に入り込まないようにするには、うがい・手洗いの励行やマスクの着用といった日常的な感染予防があります。また、加齢とともに免疫力が低下して感染しやすくなるために、慢性疾患をお持ちの方はその治療に努めることやタバコを吸う方は禁煙すること、規則正しい生活を送ることなどによって、免疫力を高めることが大切です。また、あらかじめ肺炎球菌に対する免疫を作るために、肺炎球菌ワクチンを接種することは、すぐにできる感染予防法のひとつです。

Q4.肺炎球菌ワクチンの効果はどうですか?

A4.肺炎球菌には93種類の血清型があり、平成26年10月からの定期接種で使用されている「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン」は、そのうちの23種類の血清型に効果があります。(病原微生物検出情報IASR「<速報>2013年度の侵襲性肺炎球菌感染症の患者発生動向と成人患者由来の原因菌の血清型分布」より)

個人の健康状態によって異なりますが、肺炎球菌ワクチンの免疫(抗体)は、5年以上持続するといわれています。

Q5.高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種は何歳で受けられますか?

A5.平成27年度から平成30年度までは、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方と、60歳から65歳未満の方で心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方は提起接種の対象となります。

但し、すでに「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン」を接種したことがあるは、対象とはなりません。

また、現時点では、定期の予防接種を受ける機会は、平成30年度までの該当する年齢となる年度のみとなります。

Q6.定期接種の対象でないと肺炎球菌ワクチンを接種してはいけませんか?

A6.接種できないということではありません。定期接種の対象者でなくても、基礎疾患(慢性心不全、慢性呼吸器疾患、糖尿病、腎不全など)をお持ちで、支援のリスクが高い方には、公費負担ではありませんが、任意での接種がすすめられたいます。

Q7.肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象なので、ワクチンの接種を受けたいのですが、どこの医療機関に行けばよいですか?

A7.各自治体の指定する医療機関で接種することができます。助成の有無や助成の内容について、お住いの自治体(市区町村)によって異なる場合がありますので、詳細は、各自治体へお問い合わせください。

Q8.「接種は一度しかできない」と言われたことがあるのですが、再接種はできますか?

A8.2009年に厚生労働省が再接種を認可し、それからは2回目以降の接種が可能となりました。但し、5年以内に再接種を行うと、注射部位の痛みなどが強く出る恐れがありますので、1回目の接種から5年以上の間隔を空けてください。再接種の場合は、任意で接種となりますので、医療機関にご相談ください。

(参考資料:厚生労働省ホームページ「肺炎球菌感染症(高齢者)」)