不眠症について

不眠症とは?

なかなか眠れない、夜中に目が覚める、睡眠時間が短いなどの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。
不眠の原因はストレス・こころやからだの病気・クスリの副作用などさまざまで、原因に応じた対処が必要です。不眠が続くと不眠恐怖が生じ、緊張や睡眠状態へのこだわりのために、なおさら不眠が悪化するという悪循環に陥ることがあります。

不眠症の4つのタイプ

入眠障害・・・なかなか寝付けない。
中途覚醒・・・眠りが浅く途中で何度も目が覚める。
早朝覚醒・・・早朝に目が覚めてしまう。
熟眠障害・・・ある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感が得られない。

睡眠時間は問題ではない

睡眠時間には個人差があります。日本人の睡眠時間は平均して7時間程度ですが、3時間ほどの睡眠で間に合っている人もいれば、10時間ほど眠らないと寝足りない人までさまざまです。また、健康な人でも年齢とともに中途覚醒や早朝覚醒が増えてきます。
不眠症は不眠そのものだけではなく「日中に不調が出現する」ことが問題となります。眠りが浅く感じられても昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。睡眠時間が短いことや目覚め回数にこだわりすぎないことが大事です。

不眠への対処法

不眠対処の第一歩は先に挙げたようなさまざまな不眠の原因を診断し、取り除くことです。それに加えて自分流の安眠法を工夫することが効果的です。安眠のためのコツを以下にまとめました。

    • 就寝・起床時間を一定にする
      睡眠覚醒は体内時計で調整されています。同じ時刻に起床・就床する習慣を身につけることが大事です。
    • 睡眠時間にこだわらない
      睡眠時間には個人差があります。どうしても眠気がないときは思い切って寝床から出てください。
      寝床にいる時間が長すぎると熟眠感が減ります。日中に眠気があるときは午後3時前までに30分以内の昼寝をとると効果的です。
    • 太陽の光を浴びる
      太陽光など強い光には体内時計を調整する働きがあります。早朝に光を浴びると夜寝つく時間が早くなり、朝も早く起きられるようになります。すなわち「早寝早起き」ではなく「早起きすることが早寝につながる」のです。
    • 適度の運動をする
      ほどよい肉体的疲労は心地よい眠りを生み出してくれます。運動は午前よりも午後に軽く汗ばむ程度で体に無理な負担がかからないような有酸素運動を継続することが効果的です。
    • 自分流のストレス解消法を
      ストレスは眠りにとって大敵。音楽・読書・スポーツ・旅行など、自分に合った趣味をみつけて上手に気分転換をはかり、ストレスをためないようにしましょう。
    • 寝る前にリラックスタイムを
      睡眠前に副交感神経を活発にさせることが良眠のコツです。ぬるめのお風呂にゆっくり入り、好きな音楽や読書などでリラックスする時間をとって心身の緊張をほぐします。
    • 寝酒は百害あって一利なし
      寝酒をすると寝付きが良くなるように思われますが、効果は短時間しか続かず、飲酒量が増加することがあり、おすすめできません。また飲酒後は深い睡眠が減り、早朝覚醒が増えてきます。お酒は楽しむもの。不眠対処に使ってはなりません。
    • 快適な眠りやすい環境づくりを
      ベッド・布団・枕・照明などは自分に合ったものを選び、季節に応じて部屋の温度や湿度を適度に調節しましょう。特に夏場は、熱中症にならないように適度にエアコンや扇風機を使用しましょう。

専門医に相談することを躊躇しない

どうしても不眠が治らないときには専門医に相談をしましょう。不眠症は精神科や心療内科で診察します。精神科へ行くのは気が重いという方はまずかかりつけ医に相談してみるといいでしょう。不眠について誰かに相談するだけでも不眠恐怖は和らぎます。大切なのは眠れないことを一人でくよくよ考え込まないことです。

睡眠薬は怖いクスリ?

答えはNO!です。「副作用が怖い」「睡眠薬は一度使い始めるとやめることができない」「次第に量が増えて効かなくなってしまう。」そう思い込んでいる方が多いようですが、現在の不眠症に使用される睡眠薬は不安や緊張・興奮を和らげて眠りに導き、自然に近い眠りが得られ、副作用も少なく安心して使えます。不眠症が改善したら少しずつ薬を減らしていき、やめることもできます。不眠治療中は、自分で薬を調節しないで、医師に相談しながら適切に使用することが大事です。

文責;薬剤科 境澤 潤
(引用・参考文献;厚生労働省・e-ヘルスネット>情報提供>休養・こころの健康>睡眠と健康>不眠症;https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp)