帯状疱疹の症状
帯状疱疹の症状は,痛みと皮疹です。
痛みは HZ ウイルスによっておかされた神経の走行に沿って認められ,耐えがたい痛み,ピリピリする様な痛み,焼ける様な痛み,針で刺される様な痛み,締めつけられる様な痛み,などと表現されます。多くは早期に診断され,内服薬や点滴などで適切に治療されれば,痛みは一週間程度で軽快し,二~ 三週間程度で皮疹も消失します。しかし,中には帯状疱疹後神経痛 ( PHN ) といって,皮疹が消失したあとも数ヶ月から数年間以上にわたって痛みが続くことがあります。この神経痛は,HZ ウイルスによって神経が大きなダメージを受け変性した結果生じると考えられています。PHN へ移行する症例は免疫機能の衰えた高齢者ほど多くなる傾向がみられ,その約 40 % が 60 歳以上の患者さんです。そのほか,重症皮疹症例や急性期の疼痛が強い症例,皮疹部の感覚の低下が著明な症例では PHN に移行しやすいといわれます。一度この PHN に移行してしまうと,完全にもとどおりの状態に戻すことは不可能な場合が多く,多少なりとも痛みを残すことになります。したがって,帯状疱疹の治療でもっとも重要なのは,PHNを発症させないことといえます。
治療は,急性期には抗ウイルス薬を投与し,痛みに対して非ステロイド系抗炎症薬を処方します。症例によってはステロイド薬の併用や各種神経ブロック療法を早期より行います。神経ブロック療法は治癒までの期間を短縮させ,PHN の発症を減少させる効果があります。