酸素飽和度って?

昨今のコロナウイルス蔓延により、酸素飽和度という言葉を耳にした方は多いと思います。今回は、酸素飽和度とはどういったものなのかを説明していきます。

酸素飽和度とは、血液中にあるヘモグロビンという物質に酸素がどれだけくっついてるかを割合(%)で表したものです。

測定方法

  • パルスオキシメーター:最も一般的な測定方法で、指先などにセンサーを取り付けて、非侵襲的(身体を傷つけない)に血液中の酸素飽和度を測定します。
  • 動脈血液ガス分析(Arterial Blood Gas Analysis;ABG):医療機関では、動脈に針を刺して血液を採取し、酸素飽和度を含む血液ガス分析を行うこともあります。こちらはより正確な数値が得られますが、侵襲的な方法です。

パルスオキシメーターの測定項目

  • SpO₂(酸素飽和度): 血液中の酸素化ヘモグロビンの割合を示します。健康な方であれば96〜99%の範囲が正常とされています。
  • 脈拍数(心拍数): 1分間に心臓が拍動した回数を示します。安静時に60〜100回/分の範囲が成人の正常値とされています。「PR」や「♡」のマークで表示されます。

測定原理

ヘモグロビンは酸素を持った状態(酸素化ヘモグロビン)と酸素を持っていない状態(脱酸素ヘモグロビン)があり、それぞれ赤色光と赤外光の吸収量が異なっています。赤色光と赤外光の2つの波長の光を指に照射して、吸収されずに通過した光を分析し酸素飽和度が算出されます。

血流による脈動(脈波)に合わせて、酸素化ヘモグロビンと脱酸素ヘモグロビンの光の吸収率を測定し、酸素飽和度が求められます。

 

光の透過率の測定値には動脈血の酸素飽和度だけでなく、静脈血や組織の値も含まれてしまいます。ただし、静脈血などは血流が変動しない為、影響を無視することができます。

 

注意点

  • 指を動かしていると測定が不安定になる事があります。
  • 指先が冷えている場合、測定できないことがあります。他の指や指先を温めてから測定することで改善します。

 

SpO2の低下

酸素飽和度が90%未満の場合、低酸素状態となっていると考えられます。肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺水腫などによって酸素が取り込みにくくなり、酸素飽和度が低下します。

低酸素状態の症状

  • 息切れ、呼吸困難
  • 速い脈拍(頻脈)
  • 頭痛、めまい、ふらつき
  • 集中力の低下、混乱
  • 手足のしびれや冷感
  • 疲労感や脱力感
  • 青紫色(チアノーゼ)が見られることがある(特に唇や爪の先)

高度の低酸素状態では意識障害昏睡状態に至ることもあります。

 

酸素飽和度と健康状態

酸素飽和度は、体の健康状態を反映する重要な指標です。特に呼吸器系や循環器系の健康状態を確認するために役立ちます。定期的に酸素飽和度を測定することは、慢性的な疾患の管理や急性の症状を早期に発見するために重要です。

健康な状態であれば、酸素飽和度が高い状態を維持することが理想的です。しかし、呼吸器疾患などの問題がある場合は、酸素療法が必要になることもあります。

酸素飽和度が低い場合や体調に不安がある場合は、専門医の診断を受けることが重要です。

~日本呼吸器学会のホームページより抜粋~

一般的に96~99%が標準値とされ、90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性があるため、適切な対応が必要です。慢性に肺や心臓の病気のある患者さんでは、息苦しさや喘鳴などの症状が強くなり、SpO2が普段の値から3~4%低下した場合は、かかりつけ医に連絡するか受診をしてください。

パルスオキシメータの操作は簡単で家庭での購入も可能ですが、測定値のもつ意味はその人の状態やかかっている病気、生活習慣等によっても異なるため、測定値の判断は主治医など医療専門の方の指導を仰ぐことをお勧めします。