帯状疱疹の治療
治療は,急性期には抗ウイルス薬を投与し,痛みに対して非ステロイド系抗炎症薬を処方します。症例によってはステロイド薬の併用や各種神経ブロック療法を早期より行います。神経ブロック療法は治癒までの期間を短縮させ,PHN の発症を減少させる効果があります。
PHN に移行して耐えがたい痛みが続く場合,痛みの悪循環が生じます。痛みによる不眠や意欲低下,食欲減衰なども生じます。この痛みの悪循環にはウイルスによって直接障害されている神経以外の,脳・ 脊髄を含めた中枢神経系が大きく関与しているといわれ,もとの痛みが大きく増強しています。このような状態では従来の消炎鎮痛薬は効果がないことが多く,抗うつ剤や抗てんかん剤,抗不安薬を用いることで痛みが緩和されることがあります。罹患期間にもよりますが,神経ブロックが奏効する場合もあります。
いずれの方法を用いてもPHN が難治性という場合も少なくありません。
成人のほとんどが帯状疱疹の潜在的リスクを持っているのですから,PHN が “ タチの悪い病気 ” であることを多くの方々に認識していただく必要があります。帯状疱疹を発症した際には,PHNの可能性を常に念頭においていただき,いち早く抗ウイルス薬の内服 ・ 点滴などの適切な初期治療を受けてください。もし,一週間程度経過しても痛みが継続する場合,あるいは痛みの増強がみられる場合は,速やかにペインクリニック等の痛み専門外来を受診することをおすすめします。