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脳ドックで一番分かることが、この脳や頸部の動脈の狭窄や動脈瘤の有無になります。 ご承知のように、血管は真っ直ぐではありません。あちこち、曲がりくねっています。その曲がりの部分に送られてきた血液があたり動脈瘤と呼ばれるコブが出来たり、動脈硬化によって血管の内部が傷つき血の塊がついて徐々に狭くなったりします。 脳ドックでは、血液の流れを画像化し狭窄や動脈瘤を見つけます。 角度を変えて、いろいろな方向から観察します 脳動脈瘤の症例(赤い矢印が動脈瘤) 次に脳腫瘍。脳の中にも良性から悪性まで様々な腫瘍が発生します。良性のものでも大きくなると周囲を圧迫し症状が出ることがあります。良性の腫瘍でも経過の観察が必要になります。
それから、脳の加齢性変化・萎縮度合が観察できます。脳萎縮の原因としてアルツハイマー型認知症は有名ですね。
脳梗塞においては、脳ドックで時々見られるのが無症候性脳梗塞と呼ばれる、小さな脳の梗塞です。「ラクナ梗塞」とか「隠れ脳梗塞」とも呼ばれ脳内の細い動脈が詰まって起こります。細い血管なので麻痺などの症状もなく、ご本人も覚えていないということが多いです。 脳ドックを受けた方933例を調べたところ、この無症候性脳梗塞が10.6%1割ちょっとで認められ、その後1年から7年後の経過中に新たな脳卒中を発症した頻度が無症候性脳梗塞を持たない人より10倍も高かった(10.1% 持たない人では0.77%)という報告もあります。
脳出血に関しては、基本的に新しい、また大きな病変は見つかりません。症状がない状態でおこなうのが脳ドックですので正しくは、脳出血の跡がわかると言ったほうがいいかもしれません。
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日本脳ドック学会ガイドライン2014ではこのような方たちに、脳ドックを積極的に勧めるとしています。脳卒中の家族歴のある方。ご両親やご兄弟に脳卒中をされた方がいる場合は危険因子が高くなります。食生活等生活習慣が似ていたり家系的に高血圧だったりすることもあります。くも膜下出血の家族歴も強力な危険因子とされています。 高血圧・糖尿病・脂質異常・肥満 要はメタボの方は血管性の危険因子が非常に高くなりますので 注意が必要です。 喫煙 タバコは百害あって一利なし!様々な病気の危険因子ですね。 書いてありませんが、多量の飲酒も脳梗塞のリスクを高めます。飲酒量と脳梗塞の間にはU字型またはV字型の関係があり適度な飲酒は脳梗塞の予防になると言われています。しかし脳出血のリスクは飲酒量に比例すると言われているので、飲まないほうがいいということになります。
残念ながら、防ぐ手立てはありません。
しかし、予防は可能です!脳ドックを受けたほうがよい方の中の高血圧・糖尿病・脂質異常・肥満の改善、たばこをやめる。これだけで、かなりリスクは下がります。
脳卒中の死亡率は減ってきましたが、医療介護費用では依然トップです。
脳の病気は、命は助かっても麻痺が残ったり、うまく話せなかったりなど日常生活で不自由がたくさん生じる厄介な病気です。
一度検査して異常なければ、2~3年に1回でいいよという先生もいるし、5年に一回でいいと云う先生もいます。高血圧や糖尿病などの生活習慣病のある方は会社の定期検診や町の特定検診などをキチッと受けた上で、脳ドックもしていただければと思います。