◎骨粗しょう症のリスク
〇女性・閉経
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、骨にカルシウムを蓄える骨形成を促す働きがあります。ところがこのエストロゲンは、閉経によって分泌量が急激に減少するため、骨粗しょう症になる危険性が高まります。
〇加齢
男性も女性も、骨は成長期に活発な代謝を繰り返して増加し、20歳前後で最大骨量に達します。40代半ばくらいまでは一定の骨量を維持できますが、その後は加齢とともに徐々に減りはじめます。
○運動不足
運動不足の人は骨の強度が弱く、さらに筋力やバランス力も衰えてしまうので、転倒・骨折の危険が高まります。
〇体型・骨密度
もともと小柄な人は、骨が小さいためカルシウムの蓄積量も少ない傾向があります。さらに、やせていて筋肉の少ない人は、骨を支える力が弱いために、骨が弱くなってしまいます。
○喫煙習慣・過度な飲酒
アルコールを過剰に摂取することや喫煙は、胃腸でのカルシウムの吸収を阻害しやすくなります。また喫煙は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌も抑えるため、骨量不足になる危険性があります。
◎骨粗しょう症予防の為の食事
○カルシウム
骨を形成している骨細胞が新陳代謝を繰り返し、新しい骨細胞がつくられるといわれています。骨をつくるために材料となるカルシウムが必要です。カルシウムは、牛乳をはじめとする乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、骨ごと食べられる小魚、ひじき・わかめ・のりなどの海藻類、小松菜や青梗菜などの緑黄色野菜に多く含まれています。以下にカルシウムの目安量表を載せました。1日に600㎎~800㎎を目標に。
食品名・目安量 | カルシウム量 |
牛乳200ml | 220mg |
豆腐1/3丁 | 120mg |
小松菜1/4束 | 162mg |
乾ひじき8g | 112mg |
ししゃも3尾 | 264mg |
ごま大さじ1 | 108mg |
日本食品標準成分表2010より
○ビタミンD
骨代謝を活発にするためにビタミンDも必要です。ビタミンDはカルシウムを多く含む食品と一緒にとると、腸管でのカルシウムの吸収率がよくなります。魚類やきのこ類に含まれます。具体的な例としては、鮭、ぶり、うなぎ、いさき、しらす、かれい、秋刀魚、いわしの丸干し、干しシイタケやきくらげなど。また、ビタミンDは紫外線を浴びることで体内でも生成されるので、適度な日光浴も効果的です。
○偏った食事はNG
スナック菓子や加工品・一部の清涼飲料水には、多量のリンや食塩が含まれています。それらを過剰に食べていると、骨に必要なカルシウムなどの栄養素が不足するだけでなく、吸収されにくくなってしまいます。
◎最後に
栄養に注意している人でも、カルシウムの摂取はどうしても不足しがちです。厚生労働省の調査によると、現在の日本人は唯一、カルシウムだけ所要量に達していません。カルシウムは、吸収率の悪い栄養素でもあります。
骨粗しょう症を含めた生活習慣病は、長年の食生活の偏りが大きな原因となりますから、毎日の食事をバランスよくとることが、全ての病気を予防する基本であることに変わりはありません。