<ヘモグロビンって何?>
血液中の酸素を運搬する「運送屋さん」で、赤色色素タンパク質です。「Hb」と英語で略されます。 魚類から哺乳類にいたる脊椎動物に広く分布し,血液の赤血球中に存在します。ヒトの血液は1ml中に約5×109個の赤血球を含み,1個の赤血球中には約2.8×108個のヘモグロビンが含まれています。ヒトでは骨髄の赤血球細胞でつくられて,約120日間体内を循環します。
<血液は何で赤いの?>
ヘモグロビンは主に鉄を含む「ヘム」とたんぱく質でできている「グロビン」からできています。このうち「ヘム」は酸素と結びつく力が強く、全身に酸素をいきわたらせる大切な役割を担っています。血液が赤いのは、このヘムが赤色素を持っているからです 。
<ヘモグロビンが低いと>
女性は 11g/dl 以下、男性は 13g/dl 以下だと「貧血」と判断されますが、この程度ではほとんど自覚症状はありません。男女とも 10g/dl 以下になると、「中等症から重症の貧血」で、貧血になると全身の細胞に酸素が行き渡りにくくなり、頭痛やだるさ、肩コリなどの症状を引き起こします。息切れやめまいなども現れてきます。貧血は、何らかの原因によって赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の量が減ることです。潰瘍やがん、あるいは月経過多などによって出血が多い場合も、鉄分不足による貧血になりやすいです。貧血は女性に多く、成人男性が貧血を起こしている場合はまず消化管からの出血が疑われます。同じ症状でも、重い病気の前兆である場合もあるので、「貧血ぐらい」と軽く考えず、血液検査を受けることをお勧めします。
–貧血の種類–
- 鉄欠乏性貧血
貧血のほとんどを占める。鉄の不足により、ヘモグロビンの合成が低下して起こる。女性に多く見られる。
- 再生不良性貧血
骨髄の造血幹細胞機能不全により、血液が産生できなくなって起こる貧血。
- 巨赤芽球性貧血
ビタミンB12または葉酸の不足により、赤血球の増殖に異常をきたして起こる貧血。
- 溶血性貧血
赤血球の破壊によって起こる貧血。
<爪の状態にも注意>
「貧血かな?」と思ったら特に注意してみてほしいのが、手足の爪の状態です。貧血と爪に何の関係があるのかな? と思われるかもしれませんが、血液の状態の悪さは爪に現れることが多いです。爪が赤くなく白っぽい場合は、ヘモグロビンの量が足りずそう見えている可能性があります。また、爪が薄く割れやすくなったりする場合も爪の主成分であるたんぱく質が足りていないことがあるため貧血を疑う必要があります。
その他、爪の中央や先端部分にスプーンのようなへこみがある場合も、貧血になっている可能性もあります。
<ヘモグロビンが高いと>
ヘモグロビンが高い場合は多血症や脱水症などの疑いがあります。喫煙やストレスなどによっても数値は上昇します。普段は意識することはほとんどないヘモグロビンの数値ですが、その数値が低くなったり高くなったりすることで、身体は意外なほど多くの影響をうけます。ヘモグロビンの数値が気になったら日常生活を振返ってみることも大切です。
このようにヘモグロビン(Hb)は、私たちの体にとって必要な酸素を運んでくれる重要な担い手です。ヘモグロビンは、私たちに大切なものを運んでくれる真っ赤な服をきた「運送屋さん」みたいです。