A1.花粉症とは「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれるもので、空気中に浮遊するスギやヒノキなどの花粉、すなわちアレルギーを誘発する物質である「アレルゲン(抗原)」が主な原因です。それらが目や鼻の粘膜から体内に入ることによって起こるアレルギー反応を「花粉症」といいます。日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告されています。
A2.抗アレルギー薬と抗ヒスタミン薬による治療が主流で、ヒスタミンの遊離や働きを抑えて、アレルギー症状が出るのを抑えます。花粉が飛散する時期の2週間くらい前から点眼を始めるとより効果的です。ステロイド薬は抗アレルギー作用や消炎作用が強く、充血やかゆみなどを抑える効果も高い薬です。副作用が現れやすいので、強い症状のある時だけ、十分に注意をしながら使う必要があります。また、アレルゲンのエキスを注射または舌下投与して、花粉に対する免疫をつくる減感作治療法など、体質改善をはかる長期的治療法もあります。
A3.薬には使用期限がありますので、医師または薬剤師に相談しましょう。効き目に満足していれば、薬の名前を医師に伝えて同じものを処方してもらうと良いでしょう。
A4. 最近は花粉症の薬もドラッグストアで気軽に購入できるようになりましたが、同じ薬でも処方薬と市販薬とでは、配合成分の量や価格に違いがあります。一般的に市販薬のほうが処方薬に比べて配合量が少なく、また価格も若干高めに設定されています。自分にあった薬を希望するならば、やはり専門医に相談するのがよいでしょう。市販薬を使用する場合も、眠くなりにくいものや目薬、点鼻薬などさまざまなものが販売されていますので、薬剤師に相談して、自分に合ったものを見つけましょう。
A5. 花粉症の症状は花粉の飛散量によって変わります。雨が降ると花粉は飛ばないため、その日の症状は楽になりますが、ここで薬の服用を止めてしまうと、次の大量飛散時に一気に症状が悪化することがあります。症状が軽くなっても、医師の指示がない限り、継続して服用した方が良い状態をキープすることができます。
なお、服薬は花粉飛散後期になり、花粉飛散量が減ったら減量することができます。
A7.医療用の花粉症の薬には、飲み合わせの悪いもの(相互作用)がいくつかあります。花粉症の治療薬にかぎらず、新しい薬やサプリメントを飲むときは、必ず医師や薬剤師へ相談しましょう。
A9.妊娠中はアレルギー性鼻炎の症状が悪くなることがあります。ただし、胎児に与える影響を考えて服薬などの治療は慎重にならなければなりません。妊娠4ヶ月の半ばまでは、原則として薬を用いることは避けた方が安全です。薬を使わずに花粉が体に入ってこないように対策をしましょう。
・なるべく花粉の多い日は、外出を控えましょう。
・外出時は、マスクやメガネ、帽子などでできるだけ花粉をブロックしましょう。
・帰宅時、外で花粉を払って玄関でシャットアウトし、家に持ち込まないようにしましょう。
・帰宅後、洗顔やうがいなど体についた花粉をきちんと洗い流しましょう。
妊娠4ヶ月以後で、どうしても薬が必要な場合は、メディエーター遊離抑制薬やステロイド薬などの点鼻薬を最少量で用いる場合もあります。医師にご相談下さい。
引用・参考文献;花粉症ナビ「知っておきたい薬のQ&A」http://www.kyowa-kirin.co.jp/kahun/knowledge/qanda.html
文責;薬剤科 境澤 潤