麻酔科医長 松井弦一郎
帯状疱疹 ( たいじょうほうしん ) は,成人になって( 時に、抵抗力の弱い小児にも起こりますが ) 何らかの原因で体の免疫力が低下した際に,神経節に潜んでいた水痘 ・ 帯状疱疹 ( HZ ) ウイルスが再び活性化し,末梢神経の走行に沿って痛みと発疹 ( 紅斑や水疱など ) を引き起こす疾患です。その誘因として過労やストレス,手術や放射線照射,基礎疾患に対する免疫抑制治療中の患者さんや悪性腫瘍の合併を含めた宿主の免疫機能の低下などが挙げられます。
小児期 ( 3 歳 ~ 6 歳 ) に HZ ウイルスに感染すると,水痘 ( 水ぼうそう ) をひき起こします。水痘は発熱や咽頭痛を伴い発疹を主な症状とし,一週間程度で治ります。しかし,水痘が治癒したあとも HZ ウイルスは皮疹 ( 皮膚にできた発疹 ) の知覚神経を介して神経の根元 ( 脊髄神経節や脳神経節など ) に密かに潜伏しているのです。つまり,過去に水痘に感染したことがあるすべてのヒトに帯状疱疹の発生リスクがあるといえます。他のヒトから感染して帯状疱疹になるわけではありません。